金型温度のモニタリング

はがれ、気孔、収縮、沈着などのダイカスト工程における欠陥は、ほとんどの場合は、金型温度の分布が最適でないことが原因で生じます。TTVは、潤滑フェーズの前と後の熱マップをモニタリングし、どんな変化も検知することで異常の発生を防止します。このため、ウォーミングアップ、金型セット、ワーク生産などの工程のさまざまなフェーズに関連する不良品の削減が可能になります。

TTVは、R.O.I（Region of Interest：対象領域）と呼ばれる制御領域と相対温度範囲を定義することによって、鋳型の臨界点をモニタリングします。

TTVシステムの心臓部は、コントローラーユニットとサーモグラフカメラユニットで構成されています。これらのユニットは、特に過酷な鋳物工場環境で動作するように設計されています。

このコントローラーは、内蔵型PCを備え、グラフィックインターフェースを介して工程データを管理、保存し、PLCを介してダイカストマシンと通信します。この工業用PCは、フルHDカラータッチスクリーンを備えています。

2つのサーモグラフカメラユニットは、それぞれ高性能赤外線センサーと画像処理用電子機器を備え、堅牢なステンレス鋼製ケースで保護されています。IR透過ゲルマニウムガラス搭載のこのケースは、空圧式シャッターによって保護されます。ダイカスト工程中はエアジェットがウィンドウを洗浄します。

 サーモグラフカメラには、外部ケースのサイズと赤外線センサーの品質によって2つのタイプがあります。

• TC120：固定型光学式センサーを備えた外径120 mmのサーモグラフカメラユニットです。
• TC168：オートフォーカス型光学式センサーを備えた外径168 mmのサーモグラフカメラユニットです。

固定焦点式サーモグラフカメラは、主に金型形状にほとんど変化のない類似ワークの生産をモニタリングするために使用されます。一方、多種多様な金型形状のフレキシブル生産の場合は、制御対象からサーモグラフカメラまでの距離の間に高性能カメラが設置されます。このカメラは、オートフォーカス装置を備え、TTVシステム制御用電子機器によって自動的に管理されます。

これらのカメラユニットは、ダイカスト金型が完全に開いたときに、可動部分と固定部分を完全にフレーミングできるようにマシンに取り付けられます。

取り付け距離は、モニタリングする金型のエリアに依存します。フレーム内の画像の物理的寸法は、カメラ（25°または45°）のレンズによって定義されます。下の表は、カメラと対象物の距離、使用するレンズ、1ピクセルのサイズ（mm）との相関関係を示します。

金型表面の熱マップは、サイクルタイムを長びかせることなく、潤滑フェーズの直前と後に自動的に保存されます。この温度分布の画像によって、金型の熱平衡条件と、サイクルの向上と生産工程の最適化に必要なデータが得られます。

TTVオペレーターインターフェースは、金型の熱マップをリアルタイムで表示するタッチスクリーンで構成されます。測定した温度値が、1つまたはそれ以上のROIに設定された限界値を上回るか、または下回ると、異常アラームを出力します。また、このインターフェースは、金型温度をグラフィック形式でも表示します。

収集されたすべてのデータは、ローカルで保存され、ネットワークサーバーにアーカイブされます。これらのデータは、ポストプロセス分析で引き続き使用され、現代のデジタルダイカスト生産の基本的な必要条件になります（Foundry 4.0）。

To know more read the article about TTV - Total Thermal Vision.